輝く卒業生

5月15日

写真学科卒業生の若林久未来さんが主催するグループ展「Classical photograph®の魅力」

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写真右から主催者の若林久未来さん[写真学科2011年卒業]と北口明子さん[写真学科2013年卒業]

 

2024年2月6日~11日に堺市文化会館で第4回「Classical photograph®の魅力」展が開催されました。この展覧会を主催するのは写真学科卒業生の若林久未来さんです。古典写真技法での表現を追求する写真家12名の作品を堺市文化会館2Fのギャラリーつつじに展示。ヴァンダイクプリントやサイアノタイプ、プラチナプリント、そしてダゲレオタイプと様々な古典的な写真技法の魅力が詰まった展覧会です。

 

 

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様々な技法を用いた作品と、その制作プロセスを説明する映像も展示されました

 

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自らが手掛けるヴァンダイクプリントの魅力を来場者に解説する若林さん

 

本学に入学した当初、若林さんはカメラにどうやってフィルムを装填するのかすら知らなかったというほど、まったくの素人でした。しかし、授業のなかで古典プリントと出会い、「これが写真なの? すごく素敵」と心が震えたといいます。古典プリントで仕上げるなら、自分自身が持つイメージを世界にたった一つの作品に仕上げることができる、と閃いたのだそう。

 

2014年に公募展「芦屋写真展」でグランプリを受賞し、パリでの展覧会に出展する権利を獲得してからは個展や海外での展覧会への参加と活動の幅が広がっていきます。2021年には森村泰昌氏の作品をヴァンダイクプリントなどの古典写真技法で再現するプロジェクトに参画。そこで出会ったメンバーの協力を得てグループ展「Classical photograph®の魅力」を立ち上げることとなりました。

 

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ミラノやウィーンでの講演やワークショップで得た経験をもとに日本の墨流し技法を取り入れた作品を出品した若林さん

 

古典写真技法にふさわしいクラシカルなロケーションを求めて第1回のグループ展は中之島公会堂で開催。グループ展の実現に向けた手続きも若林さん持ち前のバイタリティで乗り越えて、今回で4回目を数えるようになりました。イタリアはミラノのChie Art Galleryで開催された第3回からは、若林さんの活発な活動にいつも刺激をうけていたという通信教育部写真学科の卒業生、北口明子さんも参加しています。

 

 

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Classical photograph®の魅力を様々な角度から楽しめる展示も多数

 

北口さんは故郷の石川県小松市でJAの広報として取材撮影を担当するなかで写真の魅力に気づき、本格的に学ぼうと本学に入学しました。在学当時、撮影のために通い詰めていたのが山中温泉大土町。現地に足繁く通い、地元の人々との交流を深めながら、作品づくりに打ち込んでいきました。卒業制作の被写体となったのもこの大土町。3年以上も通い詰めて知り尽くした山間の集落ならではの独特の空気感を切り取った作品は高く評価されました。

 

現在、北口さんが拠点としているのは、神奈川県横浜市。ふるさとの小松とはまったく違う都会の風景を北口さんならではの視点で切り取る作品づくりを地道に続けています。撮るのは、決まって道行く人が誰もいない明け方や天気の悪い日。横浜ではめったに降らない雪が降った日には、自分が求める景色を探していて、気がつくと12時間があっという間に経っていたこともあるそう。「過ぎていく瞬間瞬間は二度と訪れない大切な時間だから、身近な景色をこれからも丁寧に写真におさめていきたい」と北口さんは語っていました。

 

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北口さんはプラチナプリントの階調表現の豊かさを引き出した作品を出展

 

北口さんは写真学科長の織作峰子先生と同郷ということもあって、折りに触れて作品について助言を受ける間柄。3月9日に石川県で織作先生と工芸学科長の山野宏先生がトークショーを行った大阪芸術大学通信教育部の入学相談会では、写真のワークショップを担当しました。トークショーもワークショップも多くの参加者を迎え、好評のうちに幕を閉じました。