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9月10日

中島裕司
[美術学科 客員教授] 

先端科学とアートを融合し、ハンガリー国騎士十字功労勲章を受章

 

中島裕司

 

中島裕司[大阪芸術大学 美術学科 客員教授]  担当授業:静物彩色表現

5歳で油絵を学び始め、一貫して制作を続ける。大阪外国語大学(現・大阪大学)・大阪市立大学(現・大阪公立大学)卒業後、教育の道へ進み、高等学校・支援学校で30年間教鞭を執る。休職して武蔵野美術大学(中退)で美術の教員免許を取得後、大阪芸術大学大学院博士課程修了(芸術制作)。国内外での受賞・展示多数。東京大学・関西大学と連携してミュオグラフィアートの普及に尽力し、ミュオグラフィアート発信の功績により「ハンガリー国騎士十字功労勲章」受章。日本美術家連盟会員・国際美術家連盟会員。関西ハンガリー交流協会理事長。

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▶︎ミュオグラフィアートの先駆者として活躍

 

2026年1月、東京の駐日ハンガリー大使館において、「ハンガリー国騎士十字功労勲章」の授与式が執り行われました。私自身、まさか自分がこのような名誉ある勲章をいただけるとは思っていなかったので、最初に連絡をいただいたときは本当に驚きました。

 

中島裕司
駐日ハンガリー大使館での勲章授与式で、コバーチ・エメシェハンガリー臨時代理大使から勲章が授与された
 

ハンガリーとのご縁は、今から15年ほど前、先輩に頼まれ、関西ハンガリー交流協会の事務局長を引き受けたことから始まります(現在は理事長)。文化交流に力を入れる中で、運命的な出会いがありました。それが、ハンガリーが国家的に推進し、日本でも東京大学の田中宏幸教授らが研究を進めてきた最先端科学技術「ミュオグラフィ」です。

宇宙線を活用して火山や原発など巨大構造物の内部を非破壊で透視する「ミュオグラフィ」は、人類の未来に役立つ重要な技術ですが、複雑なため一般の方には理解されにくいという課題があります。そこで、国際美術研究所所長で国際ミュオグラフィ研究所所員の角谷賢二先生と私が中心となって、科学をアートで可視化する「ミュオグラフィアート」を発信し、絵画やデジタル表現を通じてその魅力を広く伝える活動を始めました。東京大学や関西大学との共同プロジェクトとして、東京ビッグサイトでのG空間EXPOや「サイエンスアゴラ」、大阪・関西万博のハンガリーパビリオンなどで展示や講演を重ねてきました。アートで難解な科学に興味を持たせ、一方で科学者はアートに触発される、文理融合のプロジェクトです。

 

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葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」をモチーフにミュオグラフィを表現した作品「北斎風ミュオグラフィアート」
 

こうした文化交流とミュオグラフィアートの取り組みが今回の受章につながり、非常にありがたく思っています。8月には京阪百貨店守口店で記念の個展を開催し、連日多くの方が足を運んでくださって大変な盛況となりました。アートを通じて科学の感動を分かち合ってきた長年の歩みがこのように評価され、身が引き締まると同時に大きな喜びを感じています。

 

中島裕司

京阪百貨店守口店・京阪美術画廊で8月に開催された「ハンガリー国騎士十字功労勲章」受勲記念「中島裕司展」。ミュオグラフィアート作品に加えて風景画やテンペラで描かれた昆虫の絵などが展示され、大盛況で幕を閉じた

 

地域と歩み、アートの力で人をつなぐ

私は大阪芸術大学のある河南町に住み、アトリエは河内長野市にあります。日々の創作活動だけではなく、地域でのアートを通じたつながりも大切にしてきました。 今年の夏には、河南町の農園の壁に絵を描いた「青空美術館」のプロデュースと制作にボランティアで携わりました。ウクライナから避難してこられた画家の方、本学卒業生、地元高校生などいろいろな人たちと炎天下で筆を動かし、誰もが楽しめるようなスポットをみんなで作り上げました。

 

中島
河南町「大浦ファーム」の大浦さんの夢を叶えるべく、1.5m×18mのコンクリート壁に13枚の絵画を施し、地域にアートの風景を生み出した「青空美術館」
 

ミュオグラフィもそうですが、アートはあらゆるところにつながっています。私自身、絵が好きだっただけでなく読書も大好きで、高校卒業後は色々な大学で、デンマーク語、英語学、英文学、法学や絵画など学びました。その後教育の道に進んで美術部顧問も務め、のちに大阪芸大大学院でテンペラ画での博士第1号となりました。そうした経験すべてが今の作品に反映されていると思います。

アートには、国籍や立場を超えて人をつなぎ、心を豊かにする力があります。子どもたちや障害を持つ方々、様々な人たちがアートを通じて生き生きと表現する姿を見るたびに、私もたくさんのエネルギーをもらっています。

 

 
アートは人生そのもの。あきらめずに学び続けてほしい

通信教育部では、静物画の指導にあたっています。アートは自由なものとはいえ、基本的な知識は必要です。私の授業ではまず構図など基礎をしっかりと身につけ、次にメッセージ性を含む自由度の高い表現へと発展させていきます。課題に関することにとどまらず、画材や技法など幅広く教えており、質問にはとことん答えます。頼られたら放っておけない性分もあって、授業外でも作品づくりや公募展、進路などの相談を受けることも多いのです。長年絵を描いてきた通教生の方が「初めて色々なことが腑に落ちた」と涙を流されたことも何度かありました。

 

アートは単に描いたりつくったりする技術ではなく、言わば人間そのものです。本を読み、経験を積み、自分の内面を深めていってほしいと思います。忙しい日々の中で学修を続けるのは大変かもしれませんが、ぜひあきらめずに卒業してほしい。そしてどんなことでも臆せず質問し、貪欲に学びましょう。また、人を教える仕事に就くなら、一を教えるためには十を知っておくべきです。人とのつながりや人間力を育てながら、これからの自分にアートをどう生かすかを考えてほしいと思います。

 

「静物画彩色表現」のスクーリング授業。基礎からひも解き本質へ導く熱心な指導が、多くの受講生の信頼を集めている
 

これからも制作を続けながら、教育や啓蒙の活動にも力を入れていきたいと考えています。11月には山形大学理学部で、2回目となるミュオグラフィアートの講義とワークショップを予定しています。同じく11月に、大阪芸術大学で初めてミュオグラフィアートのグループ展を行います。自分自身もミュオグラフィアートだけの個展をいつか実現してみたいですね。科学でも芸術でも、人とつながることで、また新しいものが生まれます。これからも、そうした出会いを大切にしていきたいと思っています。

 


「ミュオグラフィアート at 大阪芸術大学」


ミュオグラフィアート at 大阪芸術大学

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2026年11月20日(金)〜25日(水)、大阪芸術大学にて「ミュオグラフィアート at 大阪芸術大学」が開催されます。
中島裕司先生をはじめ28名が出展。見えないものを可視化する先端科学とアートが響き合う、
新たな世界観に出会える機会です。

■会場/大阪芸術大学 芸術情報センター 回廊ギャラリー
■日時/11月20日:13時~17時
11月21・22・24日:11時~17時
11月23日:閉館
11月25日:11時~15時